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【映画のあらすじ l 解説 l 考察 l ネタバレ l 感想 l レビュー】

映画『未来を花束にして』を観て、戦ってくれた過去の女性たちに感謝する【ネタバレあり】

未来を花束にして 2015年

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再生時間:106分

未来を花束にしてについて

1912年のイギリス。ロンドンでは、当時の政権に対して女性の選挙権を要求する運動が先鋭化していた。50年に及ぶ平和的な抗議が黙殺され続け、カリスマ的リーダーであるエメリン・パンクハーストが率いるWSPU(女性社会政治同盟)は、"言葉より行動を"と過激な抗争を呼びかけていた。その一方で人を傷つけないことを方針のひとつとする穏健派も存在した。現代社会の深刻な問題となっているテロ行為とは一線を画す、理性に拠る活動だったことが知られている。階級を超えて連帯した女性たちの願いはやがて大きなムーブメントとなり社会を変えていった ― 。
実話に基づく本作は、そんな女性たちの勇気ある行動を描出した感動作だ。

映画『未来を花束にして』公式サイト

キャスト・スタッフ
未来を花束にして
あらすじ

1912年、ロンドン。劣悪な環境の洗濯工場で働くモードは、同じ職場の夫サニーと幼い息子ジョージの3人で暮らしている。
ある日、洗濯物を届ける途中でモードが洋品店のショーウィンドウをのぞき込んでいると、いきなりガラスに石が投げ込まれる。女性参政権運動を展開するWSPU(女性社会政治同盟)の"行動"の現場にぶつかったのだ。それが彼女と"サフラジェット"との出会いだった。
同じ頃、女性参政権運動への取り締まりが強化され、アイルランドでテロ対策に辣腕をふるったスティード警部が赴任してくる。彼は歴史上初となるカメラによる市民監視システムを導入し、無関係だったモードもターゲットの1人として認識されてしまう。
やがてモードに大きな転機が訪れる。下院の公聴会で証言をすることになったのだ。工場での待遇や身の上を語る経験を通して、初めて彼女は"違う生き方を望んでいる自分"を発見する。けれども法律改正の願いは届かず、デモに参加した大勢の女性が警官に殴打され、逮捕された。そんな彼女たちを励ましたのが、WSPUのカリスマ的リーダーであるエメリン・パンクハーストの演説だった ― 。

映画『未来を花束にして』公式サイト

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ストーリーと解説
※ネタバレあり

主人公モード
1912年のロンドン。父親は不明、洗濯工場で働く母親の元、洗濯工場で生まれ、洗濯工場で育ち、今も洗濯工場で働いているモード(キャリー・マリガン)24歳。今は同じく洗濯工場で働く夫と息子の3人で暮らしている。

ストーリー
モードが同じ洗濯工場で働き始めたバイオレットに誘われたのがきっかけで、最初は冷めた目で見ていたものの、徐々に女性参政権運動に没頭していく様子を描いた作品。

最初は穏健的に女性の参政権を求めていた女性たちも、何十年と男性に無視され続けることで、活動が過激化。モードが参加した活動家たちのグループも、公聴会で証言をしたり表向きの行動をしながら、一方で窓に投石をしたり、郵便ポストを爆破したり、電話線を切断したり、過激な行動を取っているグループであった。

この作品自体はフィクションだが、この作品に出てくる女性活動家エメリン・パンクハースト(メリル・ストリープ)や、エミリー・デイビソン(ナタリー・プレス)は実在した人物である。

エミリー・デイビソンは1913年にエプソム・ダービーが行われている競馬場に行き、国王が観ている前で競走馬たちが疾走する中、国王の馬の前に立ちはだかり、意識不明となり数日後に死亡した。その時、彼女は彼女が活動する団体の旗を持っていた。

作品中ではエミリーは国王に自分たちの活動を知ってもらうために、国王に直訴する意味で、国王と大観衆の前で犠牲となったとされている。

ストーリー自体はエミリーがエプソム・ダービーで死亡し、たくさんの人が彼女を送る葬列に参加したエピソードで終わる。作品の中で、貧富の差、学歴の差を超えて、女性たちが協力して参政権を求めた様子を描いており、考えてみればこれはたった100年ちょっと前の出来事であることに愕然とする。そして、最後のクレジットの前に国ごとの女性参政権が認められた年のリストが流れるのだが、リスト最後のサウジアラビアについてはなんと2015年である。

モードとその周りの男たち
女性が声を上げると男たちが揶揄するのは今も昔も同じ。主人公モードの夫は、偉そうなところはあるものの、妻も子も愛する普通の夫だったが、モードが運動を始めるとモードを家から追い出し、挙句の果て1人で育てきれなくなった息子を養子に出してしまうクソ男に変身してしまう。

モードは洗濯工場で7歳からパート、12歳から正社員として働き始め、20歳で主任になる等、劣悪な労働環境ながら女性だらけの職場で着実に地位を確立していた。ただ、これも工場長のお気に入りだったため実現したことで、彼女は少女時代にこの工場長からレイプされていたのだった。

工場長はバイオレットの娘にも手を出しており、最初は過去のトラウマから見て見ぬふりをしていたモードも、女性参政権運動に参加する中で強くなって行き、ある日、洗濯工場に乗り込んでバイオレットの娘を救出し、裕福な同じ活動家であるホートン夫人の家で働かせてもらえるよう掛け合う。

また、モードが参政権運動を始め、過激な行動から投獄されたこともあり、工場長はモードをクビする。その時もいやらしくモードの腰に手を回し「目をかけてやったのに」と耳元でささやく工場長の手に、モードは持っていたアイロンをジューっと押し付けて「これがお返しよ」と言って立ち去る。

モード自体がああなった、こうなったで終わる作品ではないが、当時の女性たちがどういう思いで運動に参加し、過激化せざるを得なかったかを描いており、先人たちに心から感謝したくなるストーリー。

未来を花束にして
印象的なセリフ(名言)

パンクハースト婦人の演説
私は奴隷より、反逆者になります。

男が自由を求めて闘うなら、女も闘うのだ。

モードが刑事に言った言葉
男の法なんて無意味よ。
窓を割り、爆破しないと男は耳を傾けないから。殴られ、裏切られた女の最後の手段よ。

人類の半分は女よ。止められる?私たちが勝つわ。

個人的評価

映画の満足度★★★★☆

感想・レビュー

男尊女卑が当たり前の陰鬱とした時代に、声を上げて闘う女性たち。ひどい目にも遭うも、彼女たちはいつも強くて、言っていることも正しいので、観ていて清々しさも覚える。

参政権運動をしているバイオレットに対し、おっさんたちが「男になれよ」とおちょくるとバイオレットが「お前もな!」と返すところ、モードに運動を止めさせるため、脅しにかかる刑事とのやり取りでバッサバッサとモードが切り返すシーンも観ていた気持ちが良い。ヨヨと泣く女は出てこない映画なので、テーマは重いけど暗澹たる気持ちに落ちることはないので、その点は安心して観られる作品。 

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